自社で新しくホームページが必要になった。ホームページ制作に補助金や助成金があるという話は聞いたことがあるけれども、実際に自社がどの補助金を利用すればいいのかわからないため、今までも申し込みをしたことがない。
今回は利用したいけれど、自社のこれから作るホームページがどの補助金に該当するのかがわかりにくいとお困りでしょうか。そこで今回は、ホームページ作成の補助金に関して
- ホームページ作成の補助金は3種類ある
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化助成金
- 自治体の補助金・助成金
以上のようにまとめました。最後までお読みいただければ、自社が申請できるタイプの補助金がわかり、ホームページ作成費用の一部として活用ができると思います。
<目次リストを追加する領域>
1.ホームページ作成の補助金は3種類ある
ホームページ作成に利用できる補助金は下記の3種類があります。
- IT助成補助金
- 小規模事業者持続化助成金
- 自治体の補助金と助成金
それぞれの特徴をカンタンに表にまとめました。各制度の詳細は2章から参照してください。
*採択率は前年度のデータを元におおよその数字を計算したものであり、各自治体が公式に発表しているものではありません。
各制度には補助金または助成金と書かれていますが、両者の違いはありません。補助金・助成金ともに受諾後には
- 返済義務 IT導入補助金 なし
- 報告義務 あり
という共通点があります。
2. IT導入補助金【最低30万〜上限450万】
IT導入補助金は中小企業・小規模事業者のルーティン業務(毎日発生する業務)や手間暇のかかる煩雑な業務の効率化を助け、売上向上や業務効率化につなげるためのITツール導入に対して支給されます。
ものすごく簡単に言えば、そのITツールを使って、仕事をラクにして・売上を上げるのが目的です。
■注意■
2020年度は、コロナ・パンデミック対策のための臨時公募が3月に急遽スタートしたため、ホームページ制作の申請が含まれる通常の公募は2次公募の扱いになります。
通常、公募は4月開始ですが、今年度の2次公募はいつ開始するか、またホームページ制作が対象となるかも、ホームページに公開済み以外の情報はありません。IT導入補助金に関した情報の公開方法は、まずホームページで公開し、その後、IT関連業者に通達します。情報確認は必ず、その年度のIT導入補助金2020のサイトから行ってください。
サイト下欄にコールセンターのナビダイヤル番号があります。0570−666−424
この制度を使ってホームページ作成をする場合は
- 申請年度に新規で作るホームページである
- 双方向性のコミュニケーションが取れるタイプのホームページ
- ホームページが売上に直接的に結びつくこと
- IT導入補助金制度が支援する業務パッケージソフトと連携していること
の条件を満たした時のみが、補助金の支給対象になります。業務パッケージソフトと一緒に、オプションとしてホームページ関連費で申請します。以下、カンタンなイメージ図がありますので参考にしてください。
*ホームページを作るだけ、片道発信タイプの自社ホームページ(コーポレートサイト)を作る場合には支給されません。
本補助金は、2017年から経済産業省の管轄で施行されており、対象ツールは年度ごとにIT導入補助金サイトで公開されています。
【参照:IT導入補助金2019】
2-1.補助金上限額
・上限金額目安:
選択申請する業務ソフトの数により、上限金額が変わります。自社に必要なソフトは、IT導入補助金サイトの経営診断ツールでわかります。
導入する総合費用の1/2までが支給されます。下限・上限金額などは以下の通りです。
*ホームページ作成費の支給は、あくまで上記①②③の業務効率化パッケージソフト導入の「オプション」ですので、IT導入補助金の総合費用は高額になる傾向があります。本章2−3に詳細例がありますので、ご確認ください。
2-2.対象者・条件
・対象者:中小企業・小規模事業者など
飲食・宿泊・卸・小売・運輸・医療・介護・保育などのサービス業
製造業・建設業
*自社の規模が中小企業・小規模事業者等に該当するかの条件は、IT導入補助金サイトでご確認ください。
・ホームページの作成を補助金でするための条件は2つ:
①業務効率化のためのパッケージソフト導入と連携するホームページ作成であること
②作るホームページが閲覧者と双方向性のホームページであること
上記の2点をクリアした上で、オプションの「ホームページ関連費」としてホームページ制作費用を申し込みます。*IT事業者は、いかなる理由でも対象になりません。
2-3.IT導入補助金対象となるホームページ作成の例
ホームページ作成に関連したITツールを導入し、連携ホームページを作った場合の1例です。
各事業により必要な業務パッケージツールなどは違いますので、IT導入補助金ホームページでマイページを作成し、そこから必要なツールを検索してください。
企業スタイル:通販サイト経営
従業員1名
資本金100万円
導入したソフト:A類選択
- メインの業務ツール:顧客管理ソフト・決済ソフト、通販会員の顧客管理と通販決済をするソフトを導入した
- ホームページ関連費で申請したもの
ITツール名: 「ホームページ制作SEOパック」
上記メイン業務ツールと連携するホームページをWordPressで作成する。
「ホームページ制作SEOパック」に含まれるもの
①ホームページ制作費(外注費含)
②デザイン費(サンプル4種から選択)
③SEO対策費用1年間分
その他ホームページ関連費として申請したもの:
- ホームページ保守費:申請するホームページやLPに対する1年間の保守費
- マーケティング代行費:申請するホームページのマーケティング代行費
-
- SNS等の導入代行
例)Instagram・Twitter・Facebookの作成と運用代行など
-
- SNS運用サポート
- アカウント利用料
- 1年間の運用代行費用
- SEO対策費:
-
- 申請するホームページのSEO対策費。
- SEO対策ツールを利用する場合は、ソフトウェアで登録可能。
- CMS利用料:
-
- CMSツールの購入費用または1年間分の利用料
- フォーム作成ツール・EFO
-
- 申し込みフォームやアンケートフォームなどの作成費
導入結果:
エクセルで管理していた顧客管理が楽になり、申し込みが増えてもお客さんを待たせないようになった。また、決済ソフトの導入で、問題が起きなくなり、お店の信用となるので安心できた。
アルバイト募集などもホームページからできるようになったので採用経費削減できた。SNS発信がホームページと連動しているので、ホームページ更新がそのままSNSに発信出来てとても業務がラクになった。おかげで地元顧客にまで情報が届き、新規客が増加している。
【参照:その他実店舗のホームページ作成例 IT導入補助金 事例】
【参照:ITツール登録の手引き】
2-4.公募期間と支給日程の目安
公募期間:
例年は4月開始。原則的に4ヶ月おきに公募情報が出ます。
*2020年度はコロナウイルス臨時対策として3月より緊急公募を開始しています。
支給までの目安:おおよそ3ヶ月〜半年程度
導入完了後に支給申請をしてから支給されます。
2-5.補助率と採択率
補助率は合計金額の1/2以下です。
採択率:
採択率の平均は30%弱程度と言われていますが、公式に発表されているものではありません。
各年度ごとに、加点ポイントがつく補助内容があり、その要項に沿っている方が、採択率は上がります。
例えば、2020年3月にコロナウイルス臨時対策として公募開始した臨時のIT導入補助金では、コロナウイルスの感染拡大を防ぐために在宅勤務制度(テレワーク)導入・クラウド化に積極的に取り組む事業者が優先されています。
加点対象は年度によって違いますので、自社の方向性とあった年度に申請する方が採択率が上がります。通年で加点が期待できるものに、以下の2つがあります。
①経営改善に関した加点
申請の際に専門家にコンサルティングを受け、経営力向上・事業計画改善の認定を受ける。
【参照:中小企業庁】
②おもてなし認証 規格ポイント
自社のサービス内容を可視化して点数をつけます。認証には4段階あり、レベルによって加点がされます。
【参照:おもてなし認証】
尚、不採択の場合でも理由のいかんは回答がありません。
2-6.導入STEP
IT導入補助金が実際に支払われるまでの流れです。
【参考:IT導入補助金2019 申請手続きフロー】
STEP1.公募
公募はIT導入補助金サイト公開されます。
補助金の交付申請を行う準備として、「IT導入支援事業者・ITツール検索」を使って、自社の業種や事業規模、経営課題に必要なIT導入支援事業者と、申請できるITツールを確認しておきます。
STEP2.交付申請
申請マイページを作成し、電子応募をします。
選択ITベンダー・サービス事業者と共に必要なITツールを決定し、申請をします。
STEP3.採択・交付決定通知のお知らせ
採択が決定し、採択決定通知が申請者と、IT導入支援事業者にも通達されます。
STEP4.発注・納品・支払(導入)
1.2.で選択して申請した導入ツールをIT導入支援事業者に発注して導入し、支払いをします。
*交付決定前に導入した経費は対象外です。
STEP5.補助金の申請と受給
補助金が事務局から直接振り込まれます。
STEP6.実績報告
全ての補助作業が終わったら、事業実施効果報告をします。
報告書はIT導入支援事業者と共同で作成します。
2-7.用意するもの
申請にあたり、以下のものが必要です。
(情報確認先URL)
- 法人
- 履歴事項全部証明書 管轄の法務局窓口・郵送またはオンライン
- 法人税の納税証明証(その1またはその2) 管轄の税務署窓口・郵送またはオンライン
- 個人
- 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- 運転経歴証明書は各都道府県運転免許センター
- 住民票:住所のある市区町村役所窓口、住基カードがある人はコンビニ発行ができます。
- 所得税の納税証明書(その1またはその2) 確定申告をした税務署窓口、またはオンライン
- 所得税確定申告書B 所得税申告書B
- IT導入補助金2020のホームページで確認します。
- 年度が変わった場合は、その年度のホームページを閲覧します。
2-9.他の助成金との併用
同じ対象物ではない場合のみ、併用ができます。
3. 小規模事業者持続化助成金【上限50万円】
小規模事業者持続化助成金は、地域の小規模事業者の活性化が目的です。基本は、販路開拓と業務効率化を補助するものです。地域の商工会議所・商工会の管轄ですので、商工会の担当者と共に事業計画を成功させる前提で助成金の支給対象になります。
ただし地域の商目的なので、医療関係者・法人・NPOや、などの事業主は申請できません。
3-1.補助金の上限額
原則50万円を上限に、総額の2/3
3-2.対象者・条件
対象者:
- 商工会地域で経営をしている小規模事業者(商工会議所地域によって受付窓口が違います)
商工会地区窓口 で事業を営んでいる
商工会議所地域で事業を営んでいる
- 小規模事業者の判断基準
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
- 製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下
条件:
- 商工会サポートによる経営計画の策定をすること。
3-3.対象となるホームページの制作例
小規模事業の集客増大・販路拡大・事業継承に貢献し、業務効率と地域発展に繋がるためのホームページ制作が対象です。
例えば、
- 販路拡大:地域商品やサービスを紹介する通販のランディングページなど
- 業務効率化:地元商品の通販サイト作成と、カート決済用のソフトを購入する
などが例としてあげられます。基本は商工会のサポート担当者と相談の上で決定します。
3-4.公募期間と支給日程目安
公募期間:
基本は年度が変わる3月下旬〜4月頭ごろに開始で、4ヶ月ごとに再公募をします。2020年度は下記のスケジュールとなっています。
公募開始:2020年3月10日公募要領の公表
受付開始:2020年3月13日
第1回受付締切:2020年3月31日[締切日当日消印有効]
第2回受付締切:2020年6月5日[締切日当日消印有効]
第3回受付締切:2020年10月2日[締切日当日消印有効]
第4回受付締切:2021年2月5日[締切日当日消印有効]
支給日目安:
支給日は、採択通知後に振り込まれます。
3-5.補助率と採択率
補助率:
審査で採択され、原則50万円を上限(補助率2/3)に、国から補助金が支給されます。
採択率:
採択率は70%程度と言われていますが、公式発表ではありません。本補助金の採択率が高いのは、申し込み商工会のサポート事業と連携しているため、商工会のサポート時点である程度の振り落としがされているためです。
3-6.導入STEP
導入のステップは以下のようになっています。全て、所属の商工会とペアで行います。
・STEP1公募開始
公募が開始されたら、様式一式をダウンロードして、申込書を作成します。
・STEP2申請書提出
所属商工会のサポートを受けながら経営計画・事業計画書を作成し、提出をします。
・STEP3審査と採択
商工会での審査があります。対面審査はありませんので、様式と要項が揃わない、記入の不備がある時点で失格となります。採択の結果は、交付決定通知が郵送されます。
・STEP4交付申請と受け取り
交付申請をして、助成金を申請して振り込まれたら、必要な作業(今回の場合は、ホームページ制作)をします。この間にも、商工会の助言指導などのサポートが得られます。
・STEP5報告書作成
全作業が終了したら、報告書を提出します。
3-7.用意するもの
公募が開始されたら、下記の様式を全てダウンロードし、所属の商工会へ提出します。下記の様式以外で、商工会サポート担当者に指示されたものも、合わせて用意をします。
- 一式ダウンロード先:一式全てのダウンロード
- 個別の様式
*全て、商工会議所・商工会での窓口手渡し・郵送も可
【参照:全国商工会連合会 申請書ダウンロード先】
3-8.情報の探し方
3-9.他の助成金との併用
基本、重複受け取りは不可です。しかし、内容によっては採択があるので申請前に確認すること。
【参照:中小企業庁】
4. 自治体の補助金・助成金【5万円前後】
地域自治体の助成金・補助金にも、ホームページ作成に利用できるものがあります。市区町村など小さな地域ごとの管轄なので基本的には少額ですが、個人経営や小規模事業のホームページ制作に使えます。
例としては
1:地元の小規模店舗や会社のホームページ制作費用
2:地元で起業をした個人事業主のホームページ制作費用
などですが、各自治体によって対象・金額・補助回数も違います
4-1.補助金の上限額と補助率の目安
上限額:
上限が5万円くらいの少額なものから、50万円までのものもあり、自治体や時期によっても違いがあります。平均は5万円前後です。
補助率:
平均で1/2程度まで。
4-2.対象者・条件の目安
対象者:
各自治体の指定した区域で事業をしている人が対象。
条件:
公募担当をしている自治体にもよりますが、基本は
- 起業や新規事業の立ち上げ直後などで人手が足りない
- ホームページ制作に割ける予算が少ない
- 掲載するコンテンツも少ないのでページ数も少ない
など、外部からのサポートを必要としている方のホームページ作成が対象です。
4-3.公募期間と支給日程の目安
公募期間:
各自治体と制度により公募時期は違いますが、基本的には、年度が変わる4月から情報更新がされます。
支給日目安:
制度により異なる。
4-4.情報の探し方
中小企業庁のサイトJ-NET21から、全国の補助金施策を探せます。年度開け〜初夏までに多くの情報が掲載される傾向にあります。
4-5.その他
自治体レベルの補助金は、地域によって助成に対する姿勢や考え方、条件が違います。例として、同じ東京都23区の中で、最も金額が大きいものと、小さいものをまとめました。
例1:東京都杉並区 商店街チャレンジ戦略支援事業助成
- 補助金額上限 300万円のうち、ホームページ制作費用の上限は50万円
- 補助率:100万円以内 5/6まで
- 100万円以上 2/3まで
- 採択率:未定
- 補助金の趣旨
杉並区で運営されている商店街を活性化するためのチャレンジを応援する補助金。商店街のホームページ作成にかかる備品購入費、委託料に対して補助金が支給されます。
例2:東京都豊島区 ホームページ作成支援補助金
- 補助金額上限 5万円
- 補助率:総額経費の1/2以内
- 採択率:未定
- 補助金の趣旨
東京都豊島区のとしま起業支援サイトが行なっている事業です。
- 区内中小企業者
- 区内中小企業者によって組織された団体
- 区内中小企業者となる予定の「起業予定者」
を対象に、これからホームページ制作をする事業者・事業予定者で、過去にホームページ制作をしたことがない人向けに補助をします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ホームページ作成の際に申請できる補助金に関して以下のようにまとめました。
- ホームページ作成の補助金は3種類ある
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化助成金
- 自治体の補助金・助成金
ホームページを作成して自社の業績をよくしたい事業者の皆様に、ぜひ、活用していただきたいと思います。